『寄席』『落語会』『勉強会』それぞれの違いって一体なに?落語のプロに聞いてみた!

落語豆知識

こんにちは!上方落語家グループ【コメイロ】スタッフのKです。

落語イベントのフライヤーを見ていると、

『寄席』『落語会』『勉強会』

というワードを目にすることがありますよね。

落語に興味を持ったはいいけど、これらは一体どんな会なんだろう?

ネットで調べてもいまいち違いが分からない。

結局どこに行けばいいんだろう?

悩んでいるうちに、どんどん落語デビューが遠のいていく…。

 

それって、すごくもったいない!!

 

せっかく落語に興味を持ってくださったあなたを見過ごすわけにはいきません。

そこで本日は、そんなお悩みを解決してくれる落語のプロにお越しいただきました!

 

佐ん吉
佐ん吉

初めまして!米朝事務所所属の噺家「桂 佐ん吉」です。

二乗
二乗

同じく、米朝事務所属の噺家「桂 二乗」です。

 

20年以上の芸歴をもつ、桂佐ん吉さんと桂二乗さん。

今回はこちらのお二人から、それぞれの会の違いについて教えていただきたいと思います。

 

今回教えてくれる人

桂 佐ん吉

平成27年度『NHK新人落語大賞』受賞者。

様々な企画に対して熱心に取り組む努力家。

桂 二乗

三重出身、京都在住の噺家。

独特の感性と優れた洞察力の持ち主。

お付き合いいただくメンバー

桂 ちょうば

桂 鯛蔵

『寄席』ってなあに?

会のタイトルにもよく出てくる『寄席』というワード。

ネットで「寄席とは」と検索すると、下記のような説明が書かれたサイトがたくさん出てきました。

 

寄席(よせ)とは、日本都市において講談落語浪曲萬歳(から漫才)・過去に於いての義太夫(特に女義太夫)、などの技芸(演芸)を観客に見せる興行小屋である。

Wikipediaより引用

 

寄席』がどんな場所なのか、ということは分かりました。

しかし、実際にはどういった雰囲気なのでしょうか。

初心者でも行きやすい?やめた方がいい?

噺家さん目線での『寄席』について教えてください!

 

佐ん吉
佐ん吉

分かりました!

まず、『寄席』の特徴について簡単にご説明しますね。

 

佐ん吉師匠が教える寄席』の特徴・メリット

①出演者が多いので、たくさんの噺家を知ることができる。

②噺家の持ち時間(出演時間)が短いので、回転が速い。

③「色物」と呼ばれる落語以外の漫才、マジック、紙切りなどが登場する。

④好きなタイミングで立ち寄る行くことができる。(昼~晩まで一日中開演していることが多いため。)

 

佐ん吉
佐ん吉

僕にとって『寄席』とは、試食コーナーのようなもの。

フラッと立ち寄って、味見をして、サラッと帰る。

それができるのが『寄席』の面白いところ!

二乗
二乗

そうそう。

でも、『寄席』にはちょっとしたデメリットがあるんです。

 

二乗師匠が教える寄席』のデメリット

①知らない噺家の落語を何本も聴くことになるので、疲れてしまうことも。

②会場の外見や設備が”THE・落語”な雰囲気であることが多いので、入るのに勇気がいるかも。

③出演者が多いだけあって、当たり・はずれの差が激しい。

 

ちょうば
ちょうば

一番良いのは、

テレビやラジオで聞いたことのある噺家さんが出ている日の『寄席』に行くこと。

余裕が出てきたら、その噺家さんの前後に出演している人についても調べてみる。

そうすると、少しずつ世界が広がって楽しくなってきます。

 

二乗
二乗

色々な噺家さんや落語をランダムで知ってみたい!

好きな時間にちょっとだけ寄りたい!

落語らしい雰囲気を楽しみたい!

 

そんな方には『寄席』がオススメです。

 

確かに、少し入りにくさは感じました!

この間初めて大阪にある「動楽亭」で開催されていた寄席(動楽亭昼席)に行ってきたのですが、

入り口が分かりにくいうえに(外階段で二階に上がる)、靴を脱がなきゃいけない会場だったんです。

泣く泣く、うっかり履いてきてしまった穴の開いた靴下で部屋に上がる羽目に…(笑)

入り口に関しては並んでいる人の後ろについて行ったので大丈夫でしたが、

誰もいなかったらきっと分からなかったし、室内の雰囲気も全く知らない状態だったので

本当に初めての方だったら戸惑ってしまうかもしれません。

思ったよりも綺麗な室内だったのと、お目当ての噺家さん+初めましての噺家さんが

個人的に大当たりだったので、結果として大満足ではありました!

 

佐ん吉
佐ん吉

動物園前駅にある「動楽亭」では、毎月1日~20日まで毎日寄席が開催されていますもんね!

 

「動楽亭」の昼席は『寄席』と言いながらもガッツリ5本の落語で構成されているので、どちらかというと

じっくり聴いていただく『落語会』に近いです。

 

色んなタイプの落語や演芸をちょっとずついっぱい楽しめる、

いわゆる『寄席』を見に行くなら

大阪近郊だと「天満天神繫昌亭」や「喜楽館」がオススメです!

 

なるほどー。

会のタイトルに『寄席』と入っていても、厳密にいえば違うということもあるのか。

前述で教えていただいた特徴に最も当てはまるものが『寄席』なのですね!

 

鯛蔵
鯛蔵

ちなみに『寄席』は、関東と関西でシステムが異なります。

 

関東は昼席・夜席の二部制で、噺を聴きながら飲食が可能

その代わり、どちらの部も4時間くらいと大ボリューム。

 

関西は「天満天神繫昌亭」「喜楽館」ともに2時間半~3時間。

基本は昼席のみ。そして飲食は不可です。

※各会場のルールによって異なる場合もございます。

 

とっても大事な情報!

飲食の可否は事前に知っておきたいポイントですよね。

 

ところで、以前開催されていた「大阪レトモ寄席」には『寄席』の文字が入っていますよね。

この会は私が観た「動楽亭」での昼席に近い構成だったと思うのですが、

どうして『寄席』なのですか?

 

佐ん吉
佐ん吉

それは、ただ単に名前の座りが良いからです。

 

えっ!?

 

佐ん吉
佐ん吉

雰囲気!

  

な、なんですとーーーー!!?

 

『落語会』ってなあに?

『寄席』についての理解が深まったところで、

新たな謎、『落語会』について師匠達にお伺いしたいと思います。

 

二乗
二乗

では、私がお答えいたしましょう!

 

落語会』というワードで検索してみたところ、

 

落語を鑑賞するために開催される集まり

 

という文章が目に飛び込んできました。

それって『寄席』も同じなのでは…?と思ってしまった。

 

実際、『落語会』とはどのようなものなのでしょうか?

 

二乗
二乗

落語会を簡単に説明すると、

 

気の合う噺家同士や、腕の良い噺家たちが集まって

自分の得意な噺(落語)を出し合う会のこと。

 

なので、演者からしてもお客さんからしても

全体的にクオリティーが高いと感じる会になることが多い!

 

二乗師匠が教える落語会』の特徴・メリット

①腕の立つ噺家や、気の合う噺家同士が出演するため雰囲気が良い。

②磨いた得意の噺(落語)を披露することが多いため、観る側の満足度が高い。

③カフェなどの施設で開催することもあるため、気楽に参加しやすい。

④ゲスト(ミュージシャンやYouTuberなど)と組んで「コラボイベント」として開催することもある。

 

二乗
二乗

ちなみに、噺家が1人で出演する会のことを「独演会」といいます。

簡単に説明すると、ワンマンライブです。

磨きに磨いた噺を120%の力で演じ、披露する会。

今までの集大成をお見せすることになるので、とても気合が入る会でもあります。

鯛蔵
鯛蔵

師匠と弟子、兄弟とやる会のことを「二人会」「三人会」「兄弟会

一門で集まって開催する会は「一門会」ともいいますね。

佐ん吉
佐ん吉

落語会』は、噺家が自分で企画を考えることができるというのも魅力です。

やってみたいことを試したり、他業種の方とのコラボで輪を広げることもできます!

 

デメリットがあるとしたら、そうですね…

 

佐ん吉師匠が教える落語会』のデメリット

①開催場所によっては、逆に参加しにくい雰囲気が出てしまうこともある。

②不特定多数の噺家さんを知りたい場合には向いていない。

③噺家以外のゲストが出る会もあるため、オーソドックスさに欠けることも。

④日時があらかじめ決まっているので、その日その時間に行かないと観ることができない。

 

なるほど!

カフェや雑貨屋さんのような気軽な場所だと女性一人でも入りやすいですね。

地下のライブハウスや、常連のお客さんでいつも賑わっているお店などは

ちょっと入りにくいと感じてしまうかも。

 

二乗
二乗

本当に色々な場所で開催しているので、

 

会場の選択肢が多い

 

という点では、『落語会』はとてもオススメです。

佐ん吉
佐ん吉

『寄席』と違って、イベント感が強い会が多いのも特徴です。

 

腕の良い噺家の落語を聴きたい

普段行くような場所で気軽に楽しみたい

 

そんな方には『落語会』良いと思います。

 

好きな人がコラボしている落語会とかだったら

その人がいる安心感もあるし、とっても行きやすくなりますね!

着物や音楽など、自分が興味のあるものが絡んでいる会だと

より一層敷居が下がる気がします!

 

佐ん吉
佐ん吉

そうなんですよ!

落語=敷居が高いと感じる人が多いのも事実。

その感覚を緩めてくれるのがコラボ企画の良いところ。

ちょうば
ちょうば

他の業種の方とのコラボは

噺家にとっても刺激をもらえる絶好のチャンス。

毎回とても勉強になるし、なにより楽しいです。

鯛蔵
鯛蔵

落語会』に限りませんが、

最近ではオンライン配信をする会もありますね。

遠方のお客さんや、会場に行くのはちょっと緊張するっていう方は

配信で楽しむのもアリです。

通常のチケット料金よりお得なことも多いですよ。

 

これは個人的な希望なのですが

俳優の阿部寛さんが好きなので、是非コラボしてください!

 

佐ん吉
佐ん吉

そうですね…

やりましょう!!

ちょうば
ちょうば

阿部寛さんに何をさせる気なんだ。

 

阿部寛さん、私はいつでも待ってますよ!!

 

『勉強会』ってなあに?

『寄席』と『落語会』の違いについては、なんとなく分かってきましたね!

ここまで調べていると辿り着くのが『勉強会』というワード。

他の会と比べて、フライヤーもシンプルなものが多い印象。

この『勉強会』って一体何なんでしょうか?

 

二乗
二乗

『勉強会』というのは、前述で説明した

 

「独演会」で披露する噺(落語)を磨く会のこと

 

初心者さんでも行くことができますが、

噺家の成長の過程を追いたいという、

推し力強め”なファンの方がとても多い会です。

鯛蔵
鯛蔵

有名だったり、人気の噺家さんの『勉強会』は

初心者・上級者関係なくお客さんが入ることがありますね!

佐ん吉
佐ん吉

噺を磨く場なので、ひょっとしたら

その噺家さんの今日しか聴けない噺や

マクラ(噺に入る前のトーク)が聴けることも!

コアなファン的には嬉しい会でもあります。

ちょうば
ちょうば

右も左も分からない初心者さんにはオススメできませんが

『寄席』や『落語会』で気になった噺家さんの裏側を覗けるチャンスなので

少し慣れてきたら行ってみると面白いかも。

 

勉強会』だけではなく、『研究会』というタイトルになることもあるようです。

推しの噺家さんを見つけることができたら、是非とも行ってみたい会ですね!

 

まとめ

寄席』『落語会』『勉強会

それぞれの違い、お分かりいただけましたでしょうか?

会のタイトルだけで判断せず、

出演者の人数や関係性、場所や時間帯などから自分なりに見分けるのもアリ。

誰と誰が仲良しなのかとかは、噺家さんのSNSを見ていれば分かってくるかも。

気になる噺家さんを片っ端からフォローして情報を集めてみてもいいですね!

 

佐ん吉
佐ん吉

どこに行くべきか悩んだら、

僕たちが出演する会に来れば間違いないです!

鯛蔵
鯛蔵

ホントかな~。

ちょうば
ちょうば

ホントやがな!自信持ちなさい!

二乗
二乗

ご来場、お待ちしておりまーす!

 

コメイロの皆さん、ありがとうございました!

 

メンバーが出演する落語会の情報はコチラからご覧いただけます。

TwitterInstagramからも情報を発信中!フォローもお待ちしております。

 


この記事を書いた人

K(コメイロstaff)

落語1年生。人生初めての落語はコメイロメンバーが出演した会でした。魅力満載の落語沼にまんまと落とされ、ひょんなことからコメイロのHP、SNS、YouTubeの編集・更新を担当させていただくことに。初めて落語を聴いたときのあの高揚感、このワクワクをもっとたくさんの方に味わっていただきたい!落語のプロであるメンバーと連携を取りながら、初心者さんにも分かりやすく、リアルな情報発信を心がけております。初めて落語はコメイロで決まり!どうぞよろしくお願いいたします。

コメント

  1. KUMIKO より:

    とても綺麗にまとまっていてわかりやすく見やすいです。
    コメイロ皆さんを応援しています!
    スタッフさんにも感謝!
    頑張ってください!

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